ポジショニングとは
ビリヤードを続けていると、「玉は入ったのに、次の玉が狙えない」という場面が必ず出てきます。そこで大切になるのが、玉を入れた後の手玉を、次の玉を狙いやすい場所へ運ぶ技術です。これをポジショニング(ポジションプレー)と言います。
ナインボールのように玉を続けて入れていくゲームでは、1球ごとに「入れる」と「運ぶ」を同時に考えます。上手な人が簡単な配置ばかり撞いているように見えるのは、前の1球で手玉を良い場所へ運んでいるからです。
手玉の動きを変える道具は、撞点(手玉のどこを撞くか)と力加減の2つです。撞点の基本は「撞点(どこを撞くか)の基本」、力加減は「力加減(スピード)の調整」で紹介しています。
手玉はどこへ行くのか
ポジショニングの第一歩は、的玉に当たった後に手玉がどちらへ行くかを予想できるようになることです。
まっすぐ当てたときは、止め球なら止まり、押し球なら前へ進み、引き球なら戻ります。くわしくは「止め球(ストップショット)」と、押し球・引き球の記事で説明しています。
角度がある配置では、次の目安が役に立ちます。
- 回転が無いとき: 手玉は、的玉が進む向きとほぼ直角の方向へ進みます。この線を接線(タンジェントライン)と呼びます
- 押し球のとき: 接線の方向へ出た後、前へ転がる回転で、的玉の進んだ側へ曲がっていきます
- 引き球のとき: 接線の方向へ出た後、逆回転で、自分の側へ曲がっていきます
実際のゲームでは、手玉は転がるうちに前へ転がる回転がつくため、ふつうに撞くと接線より少し前寄りへ進むことが多くなります。この図は「どちらの方向へ、どのくらい曲がるか」をつかむための目安と考えてください。
次の玉には角度を残す
意外に思われるかもしれませんが、次の玉に対してまっすぐの配置を作るより、少し角度を残すほうが手玉を運びやすいとよく言われます。
まっすぐの配置では、手玉は「止まる・進む・戻る」の1本の線の上でしか動きません。次の次の玉が線から外れていると、そこへ手玉を運ぶ方法がありません。少し角度があれば、接線の方向へ手玉を出し、押し・引きでその向きを曲げられるので、運べる範囲が一気に広がります。
もちろん、角度が大きすぎると、今度は玉を入れること自体が難しくなります。初心者のうちは「まっすぐより少しだけ角度がある配置」を目標にするとよいでしょう。
点ではなく広い場所を狙う
手玉をぴたりと1点に止めるのは、上級者でも簡単ではありません。そこで、「ここで止める」という点ではなく、「このあたりに止まれば、次の玉が狙いやすい」という広い場所を狙います。
広い場所を選ぶときは、手玉が進む線の向きにも気を配ります。
- 線に沿って広い場所: 手玉の進む線の上に、狙いやすい範囲が長く続いている。力加減が多少ずれても次が狙える
- 線を横切る狭い場所: 手玉の進む線が、狙いやすい範囲を短く横切るだけ。少しでも強さがずれると外れる
同じ場所へ運ぶにしても、狙いやすい範囲に沿って手玉が進むように撞き方を選ぶと、失敗に強くなります。
ポイント
次の玉を考えるときは、手玉を運ぶ先だけでなく「行ってはいけない場所」も確かめましょう。ポケットの近く(スクラッチの危険)や、他の玉の陰になる場所は避けます。
初心者のポジショニングの始め方
最初から何球も先を読む必要はありません。次の順番で少しずつ広げていきます。
- 入れることを最優先にする: 手玉を運ぶことに気を取られて玉が外れては意味がありません。まずは「入れたうえで、手玉が大きく外れないこと」から始めます
- 力加減で運ぶ: 撞点は中心か少しの押し・引きのままにして、力加減で手玉の止まる距離を合わせます。弱めに撞くほど、手玉の行き先は予想しやすくなります
- 次の1球だけを考える: 慣れてきたら、撞く前に「次の玉をどこから狙いたいか」を決めてから構えます
- 2球先を考える: さらに慣れたら、次の次の玉まで考えて、次の玉に残す角度を選びます
うまく運べなかったときは、どちらが原因だったのか(向きか、強さか)を振り返ると、上達が早くなります。運ぶのが難しい配置では、無理をせず守りの1打を選ぶ考え方もあります。それは「セーフティ(守りの1打)入門」で紹介しています。
よくある質問
ひねりを使えないとポジショニングはできませんか?
できます。撞点の上下と力加減だけでも、手玉はかなり思いどおりに運べます。ひねりはクッションの後の跳ね返りを変える技術で、それでも届かない場所へ運ぶときに使います。くわしくは「ひねり(イングリッシュ)の基本」で説明しています。