なぜ力加減が大切なのか

ビリヤードを始めたばかりのころは、狙った玉をポケットに入れることで精一杯です。少し慣れてくると、「玉は入ったのに、次の玉が狙えない位置に手玉が行ってしまった」という場面が増えてきます。

手玉が次にどこへ行くかは、撞く強さで大きく変わります。強すぎれば台の上を何度も往復し、弱すぎれば的玉がポケットまで届きません。力加減を調整できるようになると、次の1球を狙いやすい場所に手玉を止められるようになり、ゲームの組み立てがぐっと楽になります。

また、強く撞くほど狙いはずれやすくなります。必要以上の強さで撞かないことは、玉を確実に入れるためにも大切です。

強さは「振り幅」で決める

力加減を調整するときの基本は、キューを後ろに引く幅(振り幅)で強さを変えることです。

握る力や腕の力で強さを変えようとすると、撞く瞬間に体に力が入り、キューがまっすぐ出なくなります。振り幅で調整すれば、腕の振り方はいつも同じまま、強さだけを変えられます。握り方は「グリップの握り方と力加減」で説明しています。

振り幅を変えても、次の2つは変えないようにします。

ポイント

弱く撞くときほど、キューを途中で止めてしまいがちです。振り幅は小さくても、手玉を撞いた後までキューをまっすぐ前に送り出しましょう。途中で止めると、強さが毎回ばらつきます。

力加減の目安を段階で覚える

「少し弱め」「強め」のような感覚だけでは、毎回同じ強さを出すのは難しいものです。そこで、手玉だけを撞いたときにどこまで転がるかで強さを段階に分けておくと、目安として使えます。

下の表は、手玉をヘッド側(手前)の端近くから、台の長い辺と平行にまっすぐ撞いたときの目安です。

段階 呼び方 手玉が転がる距離の目安 振り幅の感覚
1 とても弱い 台の長さの半分くらい ごく小さく引く
2 弱い 反対側のクッションに届くくらい 小さく引く
3 ふつう 反対側のクッションに当たり、台の中央あたりまで戻る 中くらいに引く
4 強い 1往復して手前のクッションまで戻る 大きく引く
5 とても強い 1往復より長く転がる いちばん大きく引く

この表は覚えやすくするための目安で、決まった基準があるわけではありません。台の大きさやラシャ(台に張られた布)の状態によって、同じ強さでも転がる距離は変わります。初めての台では、何回か手玉だけを撞いて、その台での転がり方を確かめるとよいでしょう。

ふだんのゲームでよく使うのは、1〜3の弱めの強さです。初心者は強く撞きすぎる傾向があるので、「思ったより弱め」を意識するくらいがちょうどよいことが多いです。

注意

いちばん強い段階は、ブレイクショット(最初の1打)など限られた場面で使う強さです。ふだんのショットで強く撞くと、狙いがずれたり、玉が台の外へ飛び出したりしやすくなります。

力加減を身につける練習

力加減は、頭で理解するより、実際に撞いて体で覚えるものです。1人でもできる練習を紹介します。

手玉を手前のクッションまで戻す

手玉をヘッド側の端近くに置き、反対側(フット側)のクッションに当てて、手前のクッションの近くで止まるように撞きます。止まった位置が手前のクッションに近いほど上手です。上の表の段階4の強さを、正確に再現する練習になります。

段階ごとに撞き分ける

同じ位置から、段階1から順に強さを変えて手玉を撞きます。狙った距離で止まるかを確かめ、ずれたら振り幅を少しずつ変えて調整します。ノートやスマートフォンに、その日の振り幅の感覚をメモしておくのもおすすめです。

的玉を入れて手玉を止める

慣れてきたら、まっすぐの位置にある的玉をポケットに入れ、手玉をできるだけ近くで止める練習をします。強さが足りないと的玉が入らず、強すぎると手玉が大きく動きます。ポケットに入るぎりぎりの弱さで入れられるようになると、力加減がかなり身についてきた証拠です。

ほかの練習方法は「1人でできる基本練習メニュー」でも紹介しています。手玉の回転を使って止まる位置を変える方法は、「押し球(フォロー)」と「引き球(ドロー)」で説明しています。