引き球とは
引き球とは、手玉の中心より下を撞いて手前へ戻る回転(逆回転)をかけ、的玉に当たった後に手玉を自分の方へ戻す撞き方です。英語ではドローと呼びます。
撞点(手玉のどこを撞くか)の基本は「撞点(どこを撞くか)の基本」で紹介しています。引き球は、その中の「下」を撞く使い方です。
下の図は、「押し球(フォロー)」と同じ配置です。的玉は同じように右下のコーナーポケットへ向かいますが、引き球で撞くと、手玉は的玉に当たった後に来た道を戻ってきます。
押し球の図と見比べると、撞点が上か下かだけで、当たった後の手玉の動きが正反対になることが分かります。
手玉が戻る仕組み
手玉を的玉に正面から当てると、手玉の前へ進む勢いはほとんど的玉に移ります。そのとき手玉に手前へ戻る回転が残っていると、その回転が台のラシャ(台に張られた布)をつかみ、手玉が手前へ転がり出します。これが引き球です。
ここで大切なのは、的玉に当たる瞬間まで逆回転が残っていることです。手玉は転がるうちに台との摩擦で逆回転が弱まり、やがて前へ転がる回転に変わってしまいます。的玉までの距離が遠いほど引きにくいのはこのためです。遠い距離で引くには、撞点を下にするだけでなく、ある程度の速さで撞いて、回転が残っているうちに的玉へ届ける必要があります。
引き球の撞き方
- 撞点を中心より下に決める: 中心から半径の半分くらい下が目安です。それより下を撞くとミスキュー(キューの先が滑る失敗)しやすくなります
- ブリッジを低くし、キューを水平に構える: キューの後ろを持ち上げて下を撞こうとすると、手玉が跳ねたり、左右に曲がったりします。ブリッジ(キューを支える手の形)を低くして、キューをなるべく水平に保ちます
- 手玉の向こうまで撞き抜く: 手玉に当たったところでキューを止めず、手玉のあった位置よりさらに先までキューを送り出します。この動き(フォロースルー)が回転をしっかり伝えます
- 撞いた後も体を残す: 撞いた直後に体を起こすと、キューの通り道がずれます。手玉が的玉に当たるまで、構えたままでいるつもりで撞きましょう
注意
キューの後ろを大きく持ち上げたまま強く撞くと、手玉が跳ねて台の外へ飛び出したり、台のラシャを傷つけたりすることがあります。下を撞くときほど、キューは水平を意識してください。
よくある失敗と対処
手玉が戻らずに止まる
撞点が十分に下でないか、的玉までの距離に対して力が足りず、当たる前に逆回転が消えていることが多いです。まずは手玉と的玉の距離を近くして(20〜30cm)、手玉が戻る感覚をつかみましょう。
手玉が跳ねる・カツッと音がする
キューの後ろが上がっているか、撞点が下すぎてミスキューしています。ブリッジを低くしてキューを水平に近づけ、撞点を少し上に戻してみてください。チョーク(キューの先に付ける滑り止め)が付いているかも確かめましょう。
手玉が左右に曲がって戻る
撞点が中心の真下から左右にずれていると、横回転が混ざって手玉の戻る向きが変わります。構えたときに、キューの先が手玉の縦の中心線の上にあるかを確かめましょう。
引き球の練習方法
- 的玉をポケットから30cmくらいの位置に置き、手玉を的玉から20〜30cm離して、3つがまっすぐ並ぶようにします
- 引き球で的玉をポケットに入れ、手玉が何cm戻ったかを見ます
- 戻せるようになったら、「手玉1個分だけ戻す」「元の位置まで戻す」など、止める位置を決めて撞き分けます
- 慣れてきたら、手玉と的玉の距離を少しずつ離していきます
距離を離すと、同じ撞き方でも戻る距離が短くなるのが分かるはずです。それが逆回転が弱まっている証拠です。練習の組み立て方は「1人でできる基本練習メニュー」でも紹介しています。
よくある質問
力の弱い人でも引けますか?
引けます。引き球に必要なのは力の強さより、撞点を正確に撞くことと、まっすぐ撞き抜くことです。手玉と的玉が近い配置なら、軽い力でも手玉は戻ってきます。
引き球と押し球はどちらから練習すればいいですか?
押し球のほうがミスキューしにくく、感覚をつかみやすいと言われます。ただ、引き球はゲーム中に手玉を止めたり、手玉のスクラッチ(手玉がポケットに落ちるファウル)を防いだりするのに役立つので、両方を少しずつ練習するのがおすすめです。