厚みとは

厚みとは、手玉の後ろから見たときに、手玉が的玉にどのくらい重なって当たるかを表す言葉です。

手玉・的玉・ポケットが一直線に並んでいれば、手玉を的玉の真正面に当てるだけで入ります。ところが実際のゲームでは、そうした配置はほとんどありません。ほとんどの場面で、手玉を的玉に斜めに当てて、的玉を手玉とは別の方向へ送る必要があります。そのときに「どのくらい重ねるか」を決めるのが厚みの考え方です。

的玉はどの方向へ進むのか

厚みを考える前に、まず知っておきたい性質があります。

的玉は、手玉と当たった点から、的玉の中心へ向かう方向に進みます。

つまり、的玉をポケットへ送りたいなら、ポケットと的玉の中心を結ぶ線を、的玉の向こう側まで延ばした点に手玉を当てればよいことになります。この点を、ここでは当てる点と呼びます。当てる点は、的玉の表面のうち、ポケットとちょうど反対側にある点です。

手玉がどの方向から来ても、この当てる点の位置は変わりません。変わるのは、そこに当てるために手玉を撞き出す方向だけです。

ゴーストボールで狙いを決める

当てる点が分かっても、手玉の「どこ」をそこに当てるのかを考えるのは意外と難しいものです。そこで使われるのがゴーストボールという考え方です。

1 2 3 4 1 3/4 1/2 1/4 A B
A:真上から見たゴーストボール(1 手玉、2 的玉、3 ゴーストボール、4 当てる点)。B:手玉の後ろから見た厚み1・3/4・1/2・1/4の重なり方

ゴーストボールとは、手玉が的玉に当たる瞬間に、手玉があるべき位置を思い描いた、目に見えない玉のことです(図Aの3の点線の円)。

  1. ポケットと的玉の中心を結ぶ線を、的玉の向こう側へ延ばす
  2. その線の上に、的玉にぴったりくっつくように玉を1個思い描く(これがゴーストボール)
  3. 手玉を、ゴーストボールの中心に向かってまっすぐ撞き出す

手玉がゴーストボールの位置まで転がれば、図Aの4の点で的玉に当たり、的玉はポケットへ向かいます。「当てる点を狙う」のではなく「ゴーストボールの中心へ手玉を送る」と考えると、狙う先が1点にはっきり決まります。

ポイント

当てる点そのものを狙って撞くと、実際より厚く当たってしまいます。手玉の中心は、当てる点よりも玉の半径の分だけ手前(ゴーストボールの中心)を通る必要があるからです。初心者の「薄い球が厚く当たって入らない」失敗は、多くがこれが原因です。

厚みを分数で表す

厚みは、重なりの大きさを玉の直径に対する割合で表すことがよくあります。図Bは、手玉の後ろから見たときの重なり方です(黄色が的玉、白が手玉、小さな点は手玉の中心を向ける位置)。

厚み 手玉の中心を向ける位置 的玉が進む角度の目安
1(フル) 的玉の中心 まっすぐ(0度)
3/4 的玉の中心と端のまん中 約15度
1/2(ハーフ) 的玉の端 約30度
1/4 的玉の端から半径の半分だけ外側 約49度

角度は、手玉が進んできた方向に対して、的玉がどれだけ斜めに進むかを表した理論上の目安です。

なかでも覚えやすいのが厚み1/2です。手玉の中心を的玉の端に向けるだけなので、狙いの基準として使いやすく、「的玉を約30度の方向へ送るときはハーフ」と覚えておくと、ほかの厚みを考えるときの物差しになります。

1/4より薄い当て方もあります。ただ、薄くなるほど少しの狙いのずれで的玉の進む方向が大きく変わるため、難しくなります。

注意

表の角度は、玉どうしが理想的にぶつかった場合の計算値です。実際には、玉どうしの摩擦や撞点(手玉のどこを撞くか)、ひねり(横回転)の影響で、的玉の進む方向が少し変わることがあります。数字はあくまで目安にして、実際に撞いて感覚を合わせていきましょう。

厚みの感覚を身につけるには

ゴーストボールや分数の考え方は、狙いを言葉で整理するための道具です。最終的には、台を見たときに「このくらいの厚み」と感覚で分かるようになることを目指します。

外れ方を確かめることが、感覚を合わせる一番の近道です。構えたときの目線の使い方は「目線とエイミングの基本」、厚みを見る練習は「球の見え方と厚みの練習」で紹介しています。

よくある質問

厚く外れたか薄く外れたかは、どう見分けますか?

的玉が狙いより大きく斜めに(手玉の進む方向から離れる側へ)外れたら薄すぎ、手玉が進んできた方向に寄って外れたら厚すぎです。ストロークが曲がっていないことが前提ですが、毎回どちらに外れたかを意識すると、修正の方向が分かります。