構え(スタンス)は何のためにあるのか
ビリヤードの構えのことをスタンスと言います。もともとは足の置き方を指す言葉ですが、体の向きや姿勢まで含めて「構え」の意味で使われることが多いです。
構えの目的はひとつで、キューを狙う線の上でまっすぐ前後に動かせる姿勢を作ることです。キューが左右にぶれると、手玉は狙ったところへ転がりません。腕の振り方だけで直そうとしても、土台の体がぐらついていればうまくいきません。
構えに決まった正解はなく、上手な人でも体格や好みによって少しずつ違います。ここでは、初心者がまず覚えたい基本の形を紹介します。
ポイント
このページの説明は右利きを前提にしています。左利きの方は、左右をすべて入れ替えて読んでください。
足の位置とキューの線
右利きの人が構えたところを、真上から見た図です。番号は下の表と対応しています。
| 番号 | 名前 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 手玉 | ここから点線の方向へ撞き出す |
| 2 | キュー | 狙う線の上にまっすぐ置く |
| 3 | 右足 | キューの線の真下あたり。つま先を外へ開く |
| 4 | 左足 | 一歩前の左側。つま先はおおむね狙う方向へ |
| 5 | 頭 | キューの真上 |
| 6 | 肩の線 | 狙う方向に対して斜めに開く |
基本の足の置き方は次のとおりです。
- 右足: キューの線の真下か、そのすぐ右に置きます。つま先は外側(右)に開き、狙う線に対して斜めにします
- 左足: 右足から一歩前に出し、キューの線より左に置きます。つま先は狙う方向か、やや左に向けます
- 足の幅: 肩幅くらいが目安です。狭すぎると体がふらつき、広すぎると窮屈になります
右足をキューの線の近くに置くのは、キューを持つ右腕が体の真横で前後に動けるようにするためです。右足が線から大きく離れると、腕を体の前で斜めに振ることになり、キューが曲がりやすくなります。
体の向きと上半身
足を置くと、体は狙う方向に対して斜めを向きます。図の6の点線のように、肩の線は狙う線に対しておおよそ斜め45度前後に開くのが一般的です。真正面を向いてしまうと右腕の通り道がふさがり、真横を向くと狙いが見えにくくなります。
上半身は、腰から前に倒してキューに近づけます。
- 左足のひざは軽く曲げ、体重を受け止めます
- 右足は伸ばしたままか、軽く曲げる程度にします
- 体重は両足におおよそ均等にかけ、ブリッジの手(キューを支える左手)には寄りかかりません
ブリッジの手に体重をかけると、撞くときに手が動いてキューの通り道がずれます。構えたまま左手を少し浮かせても体が倒れないくらいが、ちょうどよいバランスです。
頭の位置と目線
頭はキューの真上に来るようにします。図の5のように、上から見たときに頭がキューの線に重なっている状態です。頭が線から外れると、狙う線を斜めから見ることになり、真っすぐに見えているつもりでもずれが生まれます。
頭の高さは人によって違います。低く構えるほど狙いは正確になりやすい一方、体が硬い人には負担になります。初めはあごがキューから握りこぶし1つ〜2つ分くらい上にある高さから始め、無理のない範囲で少しずつ低くしていくとよいでしょう。
撞くときは、最後まで頭を動かさないことが大切です。結果を早く見ようとして顔を上げると、体も一緒に動いてキューがぶれます。
構えに入る手順
毎回同じ構えを作るには、構えに入る順番を決めておくのが近道です。
- 台から少し離れて立ち、手玉の後ろから狙う線を確かめる
- 狙う線の延長線上に、右足を置く
- 左足を一歩前の左に出す
- 上半身を前に倒し、ブリッジの手を台に置く
- キューを狙う線に乗せ、頭をキューの真上に下ろす
ポイントは、先に狙いを決めてから立ち位置を決めることです。先に足を置いてから体をひねって狙いを合わせると、体に無理な力が入り、キューが曲がる原因になります。狙いが合っていないと感じたら、構えたまま修正せず、いったん立ち上がってやり直しましょう。
ブリッジの作り方は「ブリッジ(手の形)の作り方」、キューの握り方は「グリップの握り方と力加減」で説明しています。
注意
手玉の位置によっては、この基本の構えがとれないこともあります。台の奥の玉や、ほかの玉が邪魔になる場面では、足の位置を変えたり体をのばしたりします。片足が床から離れてもかまいませんが、WPA 世界統一ルールでは、撞くときに少なくとも片足が床に着いていないとファウルになります。
よくある質問
鏡や動画で確かめたほうがよいですか?
確かめられるなら効果的です。特に頭がキューの真上にあるかどうかは、自分では気づきにくいところです。友達に後ろから見てもらうか、スマートフォンで正面と横から撮影してみると、ずれがよく分かります。
構えると腰や背中が疲れます。
慣れないうちは、低すぎる構えをとっていることが多いです。頭の位置を少し高くし、左ひざを曲げて体を支えるようにしてみてください。数回撞いたら体を起こして休むのもよいでしょう。